あらすじ
場末の酒場で起きた複数の男によるレイプ事件。勝ち目がないと言われながらも、裁判を引き受けた女性検事補は調査を開始するが、被害者の女性は酒に酔っており、被告側の男たちは和姦を主張していた。やがて原告がマリファナを服用していた事が発覚、裁判は絶対不利となっていく……。現代アメリカで避けて通れない犯罪、レイプについて真っ向から挑んだ意欲作。
確たる証拠がないレイプ事件の裁判の過程を描いています。
ストーリーはとてもシンプル。
私自身は公開された1988年のアメリカの様子を知る人間ではないけれど、社会問題を切り取って見る者の感情や思考にまっすぐ訴えてくるように作られていたと思います。
レイプ被害の多さ
証拠のない裁判のむずかしさ
事件後も苦しみ悩まされる被害者
正当な裁判とは
どの問題点を挙げても、議論すればきりがないほどの重く深い問題で、見終わった後もすごく考えさせられました。
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ジョディ・フォスターの大きな存在感
本作はまさに、主役のサラを演じるジョディ・フォスターの演技が支えた作品だと思いました。
中盤、あることがきっかけで自ら髪を短髪に切ってしまうのですが、髪の長かったジョディはホント美人さんでかわいらしさもあり、「お人形さんみたい」という形容詞がぴったり。
短髪にした後は、少しボーイッシュだけど目がとても印象的に見えるスタイル。
見た目のかわいさもさることながら、主役のサラの心情の変化がすごくよく伝わってきました。
裁判中の不安で落ち着かない様子や、検察側の納得いかない決定事項に対する怒り、事件で受けた悲しみなど、どれもマイナスの気持ちだけど
繊細に伝わってきて、さすが主演を務める女優さんだと感心。
ジョディ・フォスターといえば、この「羊たちの沈黙」も有名ですね。
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公正を保つことと当事者意識を持つことの難しさ
被害者のサラは、被害当時、薄くて露出の多いファッションをしており、飲酒をしながらマリファナも吸っていました。
これだけを聞いて、「自業自得だ」「被害は嘘だろう」と思う人は、結構多いのではないかと思います。
裁判では、事実を淡々と述べられるので、その場の様子を想像しながら構成に判断することって、すごく難しいことなんだなと思いました。
この作品は、サラが助けを求めるシーンから始まり、裁判の最後のシーンの最後の証人が事件の様子を証言するまで、事件で何があったのかの映像は出てきません。
つまり、観客もある意味裁判に関係する人と同じで、サラの証言やその場にいた人の証言などを参考に、自分なりに事件で本当に何があったのかを判断していきます。
観客の中で「サラが嘘をついている」「サラが被害妄想だ」と一瞬でも感じた人は多いんじゃないかな、と思いました。
女性の私自身ですら、マリファナや当日の服装などから勝手にサラに対して疑念を途中持ったくらいなので…。
ジョディ・フォスターといえば「マネー・モンスター」
この作品では20代だったジョディも、この約30年の間にキャリアを重ね、日本で6月に後悔される「マネー・モンスター」では監督を務めています。
女優としてだけではなく、制作側としても映画界に貢献し努力し続けている彼女をすごく素敵だと思うし尊敬します!
ちなみに、レーガン元大統領の暗殺未遂事件はジョディ・フォスターの熱狂的なファンが起こしたことで有名かなと思います。
「でかいことをしでかして、ジョディ・フォスターに認めてもらいたい」というのが動機だったようで…
本人にとっても迷惑だろうし、それ以上にショックだっただろうなぁと思います。
amazonなら400円でみることができるので、重い映画見たい気分のときはぜひ!
30年前の作品だけど、現代でもすごく考えさせられる良作です。