RIOの日記

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『カササギ殺人事件(上/下)』感想:緻密に作り込まれたストーリー

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2021年の読書初めは、アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』

 

国内でも数々の賞を受賞した注目作ということで、何ヶ月も待ちようやく図書館の予約がまわってきた!嬉しい〜

 

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実際に読んでみて、その緻密な構成にびっくり!

1つの大きなストーリーの中に、まったく別の2つのストーリーが進行しているという大きな構成自体にも驚き楽しませてもらいましたが、それぞれのストーリーに散りばめられた1つ1つにも隠された意味やつながりがあって、、、

 

すべてを読みきった今、もう一度最初からじっくり読んで堪能したい。

 

 

 

あらすじ

 

1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけて転落したのか、あるいは……。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。燃やされた肖像画、屋敷への空巣、謎の訪問者、そして第二の無惨な死。病を得て、余命幾許もない名探偵アティカス・ピュントの推理は――。

 

現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ・ミステリ!

 

*第1位『このミステリーがすごい! 2019年版』海外編 
*第1位〈週刊文春〉2018ミステリーベスト10 海外部門
*第1位『2019本格ミステリ・ベスト10』海外篇
*第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 海外篇
*第1位 2019年本屋大賞〈翻訳小説部門〉
*第1位 第10回翻訳ミステリー大賞
*第1位 第7回翻訳ミステリー読者賞

出版元・東京創元社の作品紹介ページより引用

 

 

以下ネタバレが含まれますのでご注意ください。

 

 

 

 

感想

 

冒頭、2〜3ページ程度の現代のロンドンでのワンシーンからすぐに世界大戦後が舞台の『カササギ殺人事件』のストーリーが始まり、読み始め早々「・・・あれ?」と、まんまと作者の術中にハマる私。

 

冒頭の数ページのことも忘れ、「もう一人の作者」アラン・コンウェイが手がけた『カササギ殺人事件』が始まるとページをめくる手を止められませんでした。

 

いかにも田舎町にありそうな息が詰まりそうなコミュニティ、頭の中で情景が描けるような自然豊かな場面設定、事件とも事故とも思える不審な死、誰もが知る名探偵とその助手の登場、大富豪の殺人事件・・・

 

どれもミステリー小説では決して珍しくないでしょうが、2つの事件とそれにまつわる住民たちの行動やそれぞれ抱える思惑がどのように結びつくのか。

 

推理力の乏しい私も必死で頭の中で「この人が怪しい?」「いや、意外とこの人が・・・」と推理しながら読み進めていきます。

 

上巻は、『カササギ殺人事件』の中で名探偵アティカス・ピュントが事件を解き明かしたことを明らかにした途端終わります。

 

「えええ!?ここで終わり?肝心の犯人は??ホントにあの人なの??」

 

慌てて下巻を手にすると、今まで続いていた美しい村・サクスビー・オン・エイヴォンを舞台にした事件から一転、舞台は現代、ロンドンにある出版社に。

 

頭の切り替えが大変でした。。。汗

 

現代の世界を舞台にした下巻は、『カササギ殺人事件』の作者であるアラン・コンウェイの訃報が届くところから始まります。

 

上巻の『カササギ殺人事件』の幕開けともなったメアリ・ブラキストンの死と似て、アランの死も自殺だと思われていましたが、下巻のメインキャラクターであるスーザンは、途中からアランは誰かに殺されたのではないかと疑い始めます。

 

そんなアランの死の真相を突き止めるのが、下巻の主なストーリー。

 

ただ、下巻は単にアランの死の真相を解き明かすだけではありません。

アランの人生そのもの、アランが『カササギ殺人事件』を含めた『名探偵アティカス・ピュントシリーズ』に込めた謎、途中で終わってしまった『カササギ殺人事件』の結末などが一気に明らかになります。

 

上巻・下巻に込められたすべてのストーリーとその真相が分かった瞬間、とても頭がスッキリしたと同時に、これほど複雑なストーリー設計がされた作品を読んだことがなかったので、とても感銘を受けました。

 

あと、推理小説を読んでいると思うことが多いですが、今回も、「人は意外な一面を持っている」ということですね。

『カササギ殺人事件』の冒頭で亡くなったメアリも、ピュントが村人を聞き込みしていくと、「他人様の事情に首を突っ込むお節介なオバサン」みたいな人柄として描かれていましたが、実は息子の本質を見抜き、周囲の人を守ろうとする優しい心を持つ人でした。

 

そんなピュントの"産みの親"、作家・アラン・コンウェイは英国文学で大ヒットを記録するような推理小説を手がける偉大な作家という評判でも、その生い立ちやキャリアに対する理想と現実のギャップに苦しみ、多くの人を失望させたり怒らせたりするようなことをしていました。

 

推理小説は、事件の謎を解き明かす爽快感ももちろんのこと、登場人物を通じて人の本性や人間くささを感じられるところも、魅力の一つです。

 

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著者:アンソニー・ホロヴィッツ

 

イギリスを代表する作家。ヤングアダルト作品〈女王陛下の少年スパイ! アレックス〉シリーズがベストセラーに。

また、人気テレビドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認のシャーロック・ホームズ・シリーズの新作長編『シャーロック・ホームズ 絹の家』などを手掛ける。

 

アガサ・クリスティのオマージュ作品『カササギ殺人事件』では『このミステリーがすごい!』『本屋大賞<翻訳小説部門>』の1位に選ばれるなど、史上初の7冠を達成。ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第1弾『メインテーマは殺人』でも、年末ミステリランキングを完全制覇した。

出版元・東京創元社の作品紹介ページより引用

 

つい最近U-NEXTで配信開始されたスパイアクションドラマ『アレックス・ライダー』も、ホロヴィッツ氏の作品が原作だよね、このドラマも気になってるんだ!

 

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