今までの当たり前の生活が一変してしまった今だからこそ、こう考える人も多いのではないでしょうか。
このままの人生でいいのかな?
今回ご紹介する『サードドア:精神的資産のふやし方』の作者も、大学生活の中でふとそんなことを思いたち、ユニークな挑戦を始めます。
著者のアレックスは普通の大学生。悩みも等身大。だからこそ、人生を変えた彼の姿を知り、「私にもできるかも!」と自信を持たせてくれます。
【サードドアとは】
人生、ビジネス、成功。
どれもナイトクラブみたいなものだ。
つねに3つの入り口が用意されている。
ファーストドア:正面入り口だ。長い行列が弧を描いて続き、入れるかどうか気をもみながら、99%の人がそこに並ぶ。
セカンドドア: VIP専用入り口だ。億万長者、セレブ、名家に生まれた人だけが利用できる。
それから、いつだってそこにあるのに、誰も教えてくれないドアがある。
サードドアだ。
行列から飛び出し、裏道を駆け抜け、何百回もノックして窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り抜けたその先に─―必ずある。
ビル・ゲイツが初めてソフトウェアを販売できたのも、スティーヴン・スピルバーグがハリウッドで史上最年少の監督になれたのも、……みんな、サードドアをこじ開けたからなんだ。
スピルバーグ、ガガ、ゲイツ…。
— Rio (@nami11star1) March 19, 2020
「このままの人生でいいの?」とふと疑問に思った普通の大学生が、成功のカギを見つけるため、名だたる成功者たちへのインタビューを試みる。
インタビューの内容はもちろん、そこに辿り着くまでのストーリーが超有益! #読了
『サードドア』 https://t.co/YzGf1EoPeA pic.twitter.com/wbI56fxu0x
著者は、そんなサードドアを開けた人たちに直接インタビューする著者の記録です。
インタビュー相手は錚々たる著名人。
ビル・ゲイツといった実業家から、スティーブン・スピルバーグやレディ・ガガなどのアーティストまで幅広く話を聞いています。
中でも、私の中で特に印象に残ったストーリーを3つ紹介します。
チー・ルー(マイクロソフト)
恥ずかしながら、この本を読んで初めてこの方を知りました。
中国の貧しい家に生まれた彼が、マイクロソフトの重役まで登りつめた、まさに血の滲むような努力を知り、ただただ尊敬します。どれだけ自分が普段から甘えているのかも痛感して、反省…
チーは毎朝4時に目を覚まし、約8キロ走って、6時までにはオフィスに入る。1日中、パックに入れた果物や野菜をちびちびつまむ。そうして1日18時間労働を週6日続けている。
ステファン・ワイツから、マイクロソフトでは、チーが人の2倍の速さで仕事をするという噂があると聞いた。彼らはチーの労働時間を「チー・タイム」と呼ぶそうだ。
チー・タイムはバカげていて、不健康な生き方にすら思える。でもチーのおかれた状況というかレンズを通して見たら、僕の目には、無茶な習慣というよりも、生き残るための確固たる手段に映った。
それはそうだ。中国にはあれだけ多くの優秀な大学生がいるんだから。チーがそこから頭角を現すには、そうするしか他にないだろう。(P74)
成功している人、実績を残す人をうらやんだりする気持ちばかり先行してしまうけれど、みんな人の何倍も努力しているんですよね。
よく言われていることなのに、こうやって実例を知ると、身が引き締まります。
ディーン・ケーメン
ケーメンの名前は知らずとも、彼が発明したセグウェイは誰しもが知るところではないでしょうか。
そんな面白い、新しいものを続々と産み出す発明家/実業家。
著者がケーメンにインタビューする時期は、とある大物へのインタビューをなかなかこぎつけられず悩んでいた時期で、そんな状況を打破するヒントももらいたいという意図を持ちつつインタビューをします。
壁にぶつかった時、私たちは具体的な解決策を求めますよね。
私は特にそういう性格が強いです…だからこそケーメンの言葉にハッとしました。
「私がここで君にロードマップを与えるつもりはない。私が言いたいのはこういうことだ。
アメリカ大陸の横断に初めて成功したルイスとクラークの作った地図があれば、誰だってここから西海岸までたやすく行けるだろ?
だからこそルイスとクラークの名前は誰もが知るところとなったんだ。でもその地図を見ながら2番目に旅をした人の名前なんて、誰も覚えていない。」
「不安が消えずに失敗が怖くて無理だと思うなら」と彼は続けた。
「ルイスとクラークみたいな先駆者の助けを待てばいい。彼らのリードに従えばまずまずの仕事ができるよ。でも先駆者の仲間入りをしたいなら、彼らみたいに、失敗して凍傷になる覚悟を決めて、自分でやるしかないんだ。他の人に任せたりしないで。
そういう覚悟がないなら、やらなきゃいいってだけのことだ。それでもいいんだよ。やりたい人は他にいくらでもいる。
本当にビッグなことをやりたいなら、思ったより時間も費用もかかる。失敗だらけで傷ついて恥をかくことになるし、イライラだって募る。それは覚悟するしかない。
その覚悟があるのなら、ひたすらぬかるみを歩んで行けばいい」
人に教えてもらった通りやっても、それは自分で乗り越えたことにはならない。一方で、ケーメンの言うとおり、無理に全てをやる必要も無い。でも、やりきるには覚悟も労力も必要で簡単にはいかないものなんでしょうね。
ジェシカ・アルバ
ジェシカ・アルバの話に移るいきさつも興味深かったです。
著者は、インタビュー相手として男性しか選んでいないことに気づきます。
「自分、そして自分と同じ世代の人はどんな人のインタビューを聞きたいんだろう」と企画するときも、男友達の意見しか聞いていませんでした。
そんなことに気づいた著者は、こう述べています。
僕は独りよがりな自分だけの「真実」という泡の中にどっぷりつかって、泡の外の世界に何があるのか、まったく見えていなかったんだ。
自分の偏見に気づいてなかった、なんて言いわけで許されることじゃない。(363ページ)
そこで著者は、女優であり実業家としても成功したジェシカ・アルバへのインタビューを試みます。
著者が述べているように、洋服・香水などのブランドを立ち上げるセレブは多いです。ただ彼女の会社が取り扱う商品は、有害物質を一切使わないベビー用品など、少し違います。
その理由は、このように書かれていました。
香水とか洋服のブランドを立ち上げるセレブは数多くいる。それは、山の頂に立った彼らの人生を誇らしげに映し出すものだ。
でもアルバは、彼女の内面を映し出すビジネスを立ち上げた。自分の人間性に踏み込んで、誰もが共感するものを生み出した。
それこそが、彼女の2つの山の頂上に登るカギだった。
彼女は最初に、自分の中の最も深い谷間で下りてみたのだ。「死に向き合うと」アルバは言った。「人生がどれほどはかないものかが身に染みるのよ。何もかもがはかないの」と言って彼女は指をパチンと弾いた。(386ページ)
ジェシカ・アルバといったら、映画『シン・シティ』が印象に残ってます…可愛らしい雰囲気が大好き🧡
でもやはり、これほどのインタビューをやり遂げた著者の一言がもっとも胸に響きました。
僕は、成功と失敗は正反対のものだと常に思ってきた。
でも今は違う。
実はどちらも、挑戦した結果だという点で同じものなんだ。
もう成功にはこだわるまい、失敗にもこだわるまいと自分に言い聞かせた。僕は挑戦し、成長することにこだわっていたい。(417ページ)
今の生活をこのまま続ける人、心機一転新しいことを始める人、どちらも「挑戦」という意味では変わらないですよね。
私はよく安西先生の「諦めたらそこで試合終了ですよ」という言葉が頭をよぎるのですが、どんな道を選んだとしても、挑戦して成長し続ける姿勢を忘れない人間でいたいです。