先日FIRE*1の本を読み、「私もFIREを目指す!」と、具体的に目標を抱くようになりました。
今回ご紹介するのは、日本人でわずか30歳でFIREを達成した穂高唯希さんによる著書『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』。
著者の穂高さんについては、FIREを達成した当時からTwitterで話題だったのでお名前は存じ上げていましたが、ブログは拝見したことはなく、本書を楽しみに待っていました。
✔︎ サラリーマンのFIREの成功事例を知りたい
✔︎ FIREが気になっていて、基礎を学びたい
✔︎ 資産形成の種銭を効率よく貯める方法を知りたい
✔︎ 高配当株式投資が好き、または興味がある
FIRE達成の手段と資産額
本のタイトルにもあるとおり、著者の資産形成方法は高配当株・増配株に集中的に投資する手法です。
資産額7,000万円になり、セミリタイアを決意したそう。
資産額が一定の金額に到達したから、というよりも配当収入が生活にかかる費用を上回る目処がついたからセミリタイアしたのかな、と思います。
著者が運用するブログのタイトル、「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイアを目指してみた」からもわかるとおり、三菱系の企業にお勤めの会社員だったそうです。
中高一貫校から慶應大学の経済学部に進学し、在学中は北京大学に1年間留学していた華麗な経歴があり、いわゆる"一流企業"にお勤めで、収入は平均以上だったと思いますが、たった7年半ほどでセミリタイアを達成したというのは、本当にすごいことですね。
高配当株投資の魅力
著者は高配当株投資の魅力をいくつか挙げていますが、ここでその一例を紹介します。
再現性の高さ
株式投資と聞くと、安く買って高く売り、その差額で儲けるキャピタルゲインを思い浮かべる方も多いと思います。
全体の市場の状況と企業の財務状態を分析するとこのキャピタルゲインを得るのは難しくないのですが、この投資手法は私の性格には合いませんでした。汗
セオリーどおりに株価は動いてくれないですし、頭では長期投資だから気にしないと分かってはいても、日々株価のチェックをして一喜一憂することに、少し疲れてしまい・・・。
投資先は異なりますが、キャピタルゲインを狙わず、ひたすら高配当株と呼ばれる銘柄にひたすら投資し、インカムゲイン*2を狙うのは、比較すると再現性が高い手法だと思います。
支出の最適化
本書の大きなテーマの一つは、この支出の最適化だと思います。
給与をより多く資産形成に回すことが短期間でFIREを実現するカギ、というのは本書を含めて今まで読んだ書籍に共通した考え方でした。
本書では、具体的に著者がとった支出の最適化の手法が述べられていましたので、いくつか紹介します。
- タバコは買わず、タバコ株を買う
- 飲み物は白湯
- 散髪はセルフカット
日本株では、日本たばこ産業(JT)株が高配当株として有名ですね。
本書でも、たばこの消費者になるのではなくたばこ会社のオーナー(株主)になろうと呼びかけられています。
そのほかにも、飲み物は白湯・散髪はセルフなど、かなり徹底した節約をしているようです。
どの程度まで節約するのか・できるのかは、その人の生活スタイルや趣味嗜好、家族構成などで解は異なります。
ただ本書でも言われているとおり、収入を増やすよりも支出を抑える方が容易に達成できます。
お金というのは、よほどのずば抜けた高収入の方でもない限り、意識しないと貯まりません。そして投資や労働で1円を稼ぐのも、節約によって支出を1円下げるのも、個人資産に与えるインパクトは同じ1円です。(P73)
著者は徹底した節約と支出管理によって、収入の8割を投資に当ててきたそう。
我が家は、すでに収入の3割が住居費なのですぐにこれほどの支出最適化の実現は難しいですが、支出をどのように抑えていくのかを考えていく必要があることを再認識しました。
日本株より米国株の高配当株がオススメ
冒頭で紹介したとおり、著者は高配当株投資で資産形成をしてきましたが、日本株よりも米国株の方がオススメであると述べています。
その理由は、連続増配年数の長さ。
高配当株として有名な日本株の花王は29年連続増配中ですが、アメリカに目を向けると、60年超に渡り増配を続ける企業が複数社。
また、本書では米国株ETF投資についても簡単に言及されています。
今の我が家の投資スタイルは、この米国ETF投資。高配当株に限らず、今は幅広いETFに分散投資して運用実績の様子を見守っています。
本書を読んだ私の感想
良かったところ:FIRE達成のモチベーションを再燃させてくれた
同じサラリーマンという立場で、若くしてFIREを達成した著者の投資手法を学ぶことで、「私もFIREを達成するぞ」というモチベーションに火をつけてもらえた気がします。
著者は会社を「豚舎」と呼んでいます。
私はそれほど今の会社で働くことを嫌だとは思っていませんが、やはり会社のために働くこと以外にもやりたいこと、チャレンジしたいことが山ほどあるので、仕事と趣味と夢と、バランスよく時間を使えるように経済的自立を達成したいです。
残念だったところ:暴落時や減配・無配の対処方法が薄かった
- 株価が大幅に下落し多額の含み損を抱える
- 企業の業績悪化によって無配・減配になった
といった事態が起こるリスクは常に想定されると思います。
本書では、「株価が下がっても狼狽して売却するな、長期的に見たら元に戻る」と言われていましたが、一旦リタイアしてしまうとやはり狼狽するし、株価が戻るまで何十年も待つことも出来ないと思います。
先日読んだ『FIRE - 最強の早期リタイア術』では、市場の暴落時に著者が慌てふためいた様子や、その中で現金や配当でクッションを持たせるといった具体的な手法を思いついたと述べられていて、読み手としてもリアリティを持ちながら読み進めることが出来たのですが、本書では有事の際に具体的に何が起きてどのように対処したのか、といった観点での記載が薄かったように思います。
また、著者の具体的な年収額や家族構成、住んでいる都市に言及がなかったので(ブログでは公開しているのかな)、読んだ内容を自分に当てはめて落とし込むことが難しかったです。
会社員ながら若くしてFIREを達成した著者を尊敬しますし、「自分も今日からまた資産形成を頑張ろう!」と、背中を押して勇気付けてくれた一冊。
たまに読み返して今の気持ちを常に忘れず持ち続けたいと思います!
あわせて読みたい
1. 『FIRE 最強の早期リタイア術』
社会人歴10年で約1億円の資産を形成して早期リタイアを実現した元OLさん(女性エンジニア)のFIRE達成術。
2. 『サードドア:精神的資産の増やし方』
「何のためにFIREを達成したいのか?」「人生で何をしたいのか?」といったことを考えるヒントになる一冊。
輝いて活躍する人たちは、どんな人生をあゆみ、何を考えて今に至るのか。
なかなか聞けない貴重な体験談が面白く、一気に読み切ってしまいます。