ちょうど一年前、2017年9月に日本で公開された韓国映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」。
公開当時はアメリカにいたのですが、Twitterやニュースサイトで見かける評価がとても良くずっと気になっていたのですが、帰国後ちょうどタイミング良くWOWOWで放送されたので鑑賞しました。
前評判のおかげで、否が応でも期待値が上がっていましたが、そのハードルをいとも簡単に乗り越え、予想以上の満足度でした。
そこで、「ホラー映画が苦手な映画ファン」目線での感想を綴りたいと思います。
感想の前に、まずは基本情報からどうぞ。
「新感染 ファイナル・エクスプレス」あらすじ
ソウル発プサン⾏きの⾼速鉄道KTXの⾞内で突如起こった感染爆発。
疾⾛する密室と化した列⾞の中で凶暴化する感染者たち。
感染すなわち、死ー。
そんな列⾞に偶然乗り合わせたのは、妻のもとへ向かう⽗と幼い娘、出産間近の妻とその夫、そして⾼校⽣の恋⼈同⼠・・・果たして彼らは安全な終着駅にたどり着くことができるのか?
⽬的地まではあと2時間、時速300km、絶体絶命のサバイバル。愛するものを守るため、決死の闘いが今はじまる。彼らの運命の⾏き先は・・・。
※Filmarksより引用
新感染 ファイナル・エクスプレス(字幕版) - Trailer
ホラーが苦手な人でも大丈夫!
ホラーが苦手ながらもいくつかホラー映画を見てきましたが、この映画はそこまで怖くなく、見やすい方だと思います。
個人的には、同じくゾンビを扱った邦画「アイアムアヒーロー」よりも怖くないと感じました。
ゾンビに襲われるシーンも、「ウォーキング・デッド」のようなグロい描写がほとんどありません。
もちろん血のりも使っているけど、そこまで血が大量に噴き出して…という場面は無く、思わず目をそらすようなシーンはありませんでした。
ただ、やはりゾンビの怖さは感じます。
特に、一度ゾンビに襲われてゾンビになってしまった人の動きが、骨格や関節を無視したいびつな動き方をするのが気味悪く感じるかも…。
ただ、前半にちょこっとそういうシーンがあるだけなので、恐怖感はあまりありませんでした。
それではホラー好きには物足りないの?
そうかもしれません。
怖さだけを追求するような場合には、フィットしない作品かもしれません。
ただこの作品のメインはホラーやパニックではなく人間ドラマであり、その点が満足に表現しきれているので、ホラー好きの人にも一定の評価を得ているのではないかと思います。
世界的に有名なホラー小説家であるスティーブン・キングも自身のTwitterでこの映画を絶賛していました。
TRAIN TO BUSAN: Holy shit, it's like John Woo meets the zombie apocalypse. This makes THE WALKING DEAD look tame.
— Stephen King (@StephenKing) December 2, 2016
そのほか、アメリカのAmazon.comやRotten Tomatoesでも上々の評価を得ていて、アジアのみならず世界中の映画ファンに支持されていることが分かります。
では、具体的にどんなところが良かったのでしょうか?
映画を見て私が感じたポイントは2つです。
シンプルに描いた「愛」
人々が感染しゾンビ化するという状況の中、自らを犠牲にしてでも愛する人を守り抜く男性たちの姿に感動を覚えました。
文字にすると、とってもシンプルですよね。しかも、なんだかクサいというか…。
でも、ゾンビに襲われるという究極の状況の中だからこそ、そのシンプルなテーマが際立ってストレートに伝わってきたのだと思います。
娘・妻・彼女…
愛する者が様々だったので、無意識にも自分の立場に当てはめて見ることができるし、だからこそ共感しやすいのかもしれません。
スアン
この作品はキャラクターがとても分かりやすく設定されているおかげで作品にすぐ入り込むことが出来たのですが、中でも主人公ソグの一人娘、スアンの映画の中での存在感は抜群でした。
スアン自身は、よくいる普通の女の子。
思ったことをそのまま口にしてしまうけれど、大人の世界はそこまで純真ではなく、時に大人を困らせちゃう。
だけどその言葉に重みがあって、徐々に大人を変えていく。
そんな絶妙な子供の役割を表現していました。
特に、最後の最後、ジニと手をつないでトンネルを歩くシーンはすごく心に残りました。
この映画は、単にホラー要素だけを楽しみにするとガッカリするかもしれませんが、ホラー・パニックの要素と、人間ドラマとをうまく掛け合わせた、とても人間臭い作品です。
ちまたでは「韓国映画はレベルが高い」と言われていますが、まさにそれを実感できる内容になっていました。
気になる方は、ぜひご鑑賞してみてください。