ネットフリックスで『マリッジ・ストーリー』を観ました。
アカデミー賞では、作品賞・主演男優賞・主演女優賞といった主要部門に軒並みノミネートされ、大注目の一作。
ネットフリックスのようなインターネットの映像配信企業が製作を手掛ける作品がアカデミー賞にノミネートされることも、珍しくなくなってきましたね。
作品名は『マリッジ・ストーリー』と結婚について語るストーリーですが、それを離婚協議を通じて描く、という意外性が良かったです。
やはり最も印象的だったのは、賞にもノミネートされているスカーレット・ヨハンソン、アダム・ドライバーの演技。
激しい感情をぶつけ合いながらのとても長い夫婦の会話のシーンは圧巻。
俳優さんって、やっぱり本当にすごい!
自分がケンカするときは、感情が高ぶりすぎて言いたいことも舌が引っかかって上手く言葉が出なくて。
俳優さんたちは、同じ気持ちを作って高ぶった感情を作りながらも、決められたセリフを自然に発していて、本当にすごいテクニックだなぁと思います。
アカデミー賞へのノミネートも納得。
『マリッジ・ストーリー』
— Rio (@nami11star1) February 2, 2020
離婚に向けたプロセスを通じながら”marriage” (結婚)のストーリーを描くところが新鮮だったし、離婚に向かうカップルを描いているのに明るく温かい雰囲気に満ちていたのも良かった。
2人の長い会話のシーンが、ホントにリアルですごかった! pic.twitter.com/xa6dClAJ19
(以下ネタバレを含みます)
「夫婦生活は長い会話である。」(ニーチェ)
二―チェが残したこの格言。
チャーリーとニコルが会話が出来る夫婦だったら、離婚という結論に至らなかったのかもしれないなぁ、と思いました。
作品の冒頭、お互いの良い部分について手紙を書き合うというシーン。
離婚の調停員に勧められてのもののようで、ニコルは結局手紙を書いてきたにもかかわらず、最後まで自分の口から伝えることができませんでした。
あのとき、あの会話ができていれば、ひょっとしたら。。。
そんな風に思わずにはいられません。
もう後戻りできない状況でベンはその手紙を読み号泣するのですが、そこにある虚しさに、私も涙をこらえきれませんでした。だって!!客観的に見ていると、チャーリーもニコルも、本心で相手のことを嫌いになったわけではないのに。子供もいて、両親になついていて。なのに離婚しなければならない状況が、ただただ空しい。悲しいのではなく、空しい。
冒頭に手紙を読めなかったニコルが悪いのではないんですけどね。LAに生活の拠点を移したいニコルを真面目に取り合わなかったチャーリーにも原因はあるし。弁護士を交えないで穏便に離婚を進めようとしたにも関わらずニコルは弁護士のノラを巻き込み、仕返しかのように強硬派のバートを代理人に立てたチャーリー。結果的にヘンリーの学費を無駄に離婚費用に費やしてしまいました。
靴ひも結び
作品の最後、ヘンリーを連れて帰宅するチャーリーの靴ひもを結び直してあげるニコルが印象的でした。2人は離婚して法的には結婚生活にピリオドを打ちましたが、離婚しても本当の夫婦みたい。
「夫婦ってなんだろう。」って、改めて考えさせられる場面でした。
結婚式を挙げて、離婚をして、そういう形式的な手続きでは明確に定義できないものなのかもしれません。
スカーレット・ヨハンソンは、『ジョジョ・ラビット』でも靴ひも結びが得意なお母さんを演じていてとても印象的でしたよね。
離婚のストーリーで、空しくてやるせない展開ばかりなのですが、なぜか見終わると温かい気持ちに。自分にとって大切なものは何か、どう守っていくのか、考えさせられるような内容でした。
あわせて読みたい